2. デジタルの基礎知識
「はじめましょう」で簡単な用語の勉強をしたが、 次にオーディオをデジタルで扱うための基礎的な勉強をする。
デジタルとアナログ
値が変化する場合、その変化を連続量として捉えるものをアナログ量、 段階的に捉えるものをデジタル量と呼ぶ。 これを図で表現するならば、波で現されたグラフと数値で現された棒グラフの違いになる。
A/D変換、D/A変換
Aはアナログ、Dはデジタルを表し、A/D変換とはアナログ信号をデジタル信号に変換することをいい、 D/A変換は、逆にデジタル信号をアナログ信号に変換することをいう。
ビット(bit)
ビット(bit)とは、情報量を扱う最小単位のことだ。 コンピュータの内部では情報を0と1に対応させた2つの状態で取り扱っている。 0と1の羅列で情報を現すため、2進数が用いられるが、 2進数1桁で2つの状態、0と1を表現できる。この2進数1桁をビットという単位で呼ぶ。
例えば、2ビットの場合であれば、
00 01 10 11
の4種類の状態を扱うことができる。 つまり、nビットで表現できる状態の数は2nということになる。
バイト(byte)
ビットのままでは桁数が多くなりやすく取り扱いが不便になるため、 8ビットをまとめて1バイト(byte)という単位で扱う。 また、補助単位としてK(キロ)、M(メガ)、G(ギガ)、T(テラ)を扱うことがある。
K byte ≒ 1,000 byte → 10の 3乗 byte M byte ≒ 1,000,000 byte → 10の 6乗 byte G byte ≒ 1,000,000,000 byte → 10の 9乗 byte T byte ≒ 1,000,000,000,000 byte → 10の12乗 byte
サンプリング
A/D変換において、アナログ信号をデジタル信号に変換するためには、 最初にアナログ信号を一定周期ごとに採取する。これをサンプリング(標本化)という。 このときアナログ信号を採取する周期をサンプリング周波数(サンプリング・レート)という。 単位はHz(ヘルツ)で、1秒間に何回採取するかを表す。
例えば、サンプリング・レートが48kHzの場合、5ミリ秒のサンプル数は、
48000[Hz] × 5 / 1000[秒] = 240[回]
となる。
量子化ビット数
サンプリングされたデータをデジタル信号に変換するための段階を量子化という。 このときアナログ量を何段階のデジタル量に変換するかは量子化ビット数によって決められる。
例えば、サンプリング・レート96kHz、量子化ビット数16ビット、トラック数2chで、1分間録音すると、
96000[Hz] × 60[秒] × 16[bit] = 92,160,000[bit/ch] 92160000[bit/ch] × 2[ch] / 8[bit] = 23,040,000[byte] ≒ 23[Mbyte]
となる。
BPM(beats per minute)
デジタルと直接関係はないが、時間に関わる単位なので、ここで取り上げておく。 BPMは、テンポを表す単位であり、指定された音符が1分間にいくつあるかによってテンポが決まる。 1分間に4分音符が120回あるのであれば、そのBPMは、以下のように表現される。
♩=120 または 120BPM
例えば、4/4拍子、60BPMの2小節のループの時間は、
60[BPM] × 4 × 2[小節] / 60[秒] = 8[秒]
となる。
レイテンシー
レイテンシーとは、コンピュータ内部において、 いろいろな処理を行うことに起因する入力と出力のズレ(遅れ)のことをいう。 デジタル・オーディオでは、コンピュータに入力されたオーディオ信号がコンピュータ処理され、 再びモニタースピーカーから聞こえてくるまでの時間的遅れを意味する。